花組『エリザベート』ロング舞台映像公開!10分31秒から見えた永久輝トート・星空シシィと“30周年の新たな歴史”

公演情報

待望の“ロング版”が公開されました!🌹✨

宝塚歌劇公式YouTubeチャンネルにて、花組公演『エリザベート-愛と死の輪舞(ロンド)-』宝塚大劇場初日舞台映像のロングバージョンが公開されています。

約10分31秒にわたる今回の映像。

プロローグからエリザベートの少女時代、トートとの出会い、皇帝フランツ・ヨーゼフとの結婚、そして「最後のダンス」「私だけに」「キッチュ」「闇が広がる」といった作品を象徴する場面まで、2026年花組版『エリザベート』の世界を一気に感じられる内容となっています。

1996年の宝塚歌劇初演から30周年。

宝塚では2018年月組公演以来8年ぶり、花組では2014年以来12年ぶりとなる『エリザベート』。

30周年という節目に、永久輝せあ率いる現在の花組は、この名作にどのような新しい色を加えたのでしょうか。

今回公開されたロング舞台映像から見えてくる、それぞれのスターの魅力と“2026年版エリザベート”を掘り下げてみたいと思います。

10分31秒で『エリザベート』の世界をたどるロング映像

今回公開されたロング版の魅力は、単に通常版より映像が長いということだけではありません。

プロローグから始まり、少女時代のシシィ、「パパみたいになりたい」、バート・イシュルでの出会い、「嵐も怖くない」、「最後のダンス」、「私だけに」、ハンガリー訪問、民衆の場面、そして第2幕の「キッチュ」「闇が広がる」へ――。

作品を代表するさまざまな場面を横断しながら、主要人物の関係性や、その人生の変化まで感じられる構成になっています。

短いダイジェスト映像では、どうしてもトップコンビの印象的な場面が中心になりがちです。

しかし今回のロング版では、永久輝せあのトート、星空美咲のエリザベートだけでなく、聖乃あすかのフランツ・ヨーゼフ、極美慎のルキーニ、侑輝大弥のルドルフなど、作品を形作る主要人物の姿もしっかりと感じることができます。

だからこそ、この映像から見えてくるのは「美しい舞台映像の連続」だけではありません。

2026年の花組が、どのような人間関係で『エリザベート』という壮大な物語を作ろうとしているのか。

その輪郭まで少しずつ見えてくるのです。

永久輝せあのトート――“死”の向こう側に見える「愛」

まず圧倒的な存在感を放つのが、永久輝せあのトート。

青白い光の中に浮かぶ姿。

冷ややかな視線。

そして、エリザベートへ向けられる強烈な感情。

トートは人間ではなく、「死」という概念を象徴する存在です。

しかし宝塚版『エリザベート』では、その“死”が一人の女性に惹かれ、何度拒絶されても彼女を求め続けます。

永久輝トートから感じられるのは、圧倒的な“死の力”と同時に、エリザベートへの執着にも似た愛。

その二つが共存することで、「死」と「愛」という本来相反するものが、次第に一つへと重なっていくようにも感じられます。

特に注目したいのが「最後のダンス」。

エリザベートを最後には自分のものにすると宣言するような激しいナンバーですが、永久輝トートからは単なる威圧感だけではなく、彼女を求める切実さもにじみます。

30年間、数々のトップスターが演じ継いできたトート。

その伝統を受け継ぎながら、永久輝せあは“死の先にある愛”という自身ならではの色を加えようとしているのかもしれません。

星空美咲――少女シシィから皇后エリザベートへ

今回のロング映像で、改めてその力量を感じさせるのが星空美咲です。

星空が演じるのは、タイトルロールのエリザベート。

しかもこの役は、自由奔放な少女時代から皇后となり、やがて孤独を深めていく晩年まで、一人の女性の長い人生を演じなければならない非常に難しい役です。

ロング映像では、

父マックスに憧れる少女シシィ。

フランツとの未来に胸を躍らせる若い女性。

宮廷という巨大な制度の中で自由を奪われていく皇后。

そして、自らの人生を取り戻そうとする一人の女性――。

そんなエリザベートの変化を感じられる場面が次々と登場します。

その大きな転換点となるのが、名曲「私だけに」です。

『エリザベート』を代表するナンバーであると同時に、シシィが「誰かに愛される人生」ではなく、「自分自身の人生」を選び始める瞬間。

星空美咲のエリザベートを語るうえでは、単に“歌えるトップ娘役”という言葉だけでは足りないでしょう。

少女から皇后へ。

皇后から、自分自身の意思で生きる女性へ。

声、表情、立ち姿まで変化させながら、一人の女性の人生を描いていく。

約10分の映像だけでも、その人物造形の片鱗を感じることができます🌹

永久輝トート×星空シシィ――これは本当に「愛」の物語なのか

そして二人を並べて見ることで、今回の花組版のテーマがさらに浮かび上がってきます。

自由を求めるエリザベート。

エリザベートを求め続けるトート。

一見すれば、トートがエリザベートを追い続ける“愛の物語”にも見えます。

しかし、エリザベートはトートの愛にも簡単には屈しません。

フランツにも。

ゾフィーにも。

そしてトートにも支配されたくない。

「私の人生は私のもの」。

その強い意志こそが、作品を貫く大きなテーマです。

だからこそ、永久輝トートがエリザベートへの愛を強く見せれば見せるほど、星空エリザベートの“自立”がより鮮明になっていきます。

愛するとは、相手を自分のものにすることなのか。

本当の自由とは何なのか。

永久輝せあと星空美咲というトップコンビが演じることで、2026年花組版では、そんな問いまでもがより鮮明に浮かび上がってくるようです。

聖乃あすかのフランツ――“美しい皇帝”だけでは終わらない

今回の公演で、男役スターとして新たな段階へ進んでいるように感じられるのが聖乃あすかです。

演じるのは、オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ。

青年皇帝としてエリザベートに恋をするところから、皇帝として背負う責任、母ゾフィーとの関係、妻とのすれ違い、そして晩年まで。

実はフランツもまた、一人の男性の長い人生を演じる役です。

若く華やかな男役スターというだけでは演じ切ることができません。

妻を愛している。

けれど理解しきれない。

皇帝であるがゆえに、自分自身の気持ちだけで人生を選ぶこともできない。

そんなフランツの苦悩を背負うことで、聖乃あすかの男役としての幅もさらに広がっているように感じます。

特に物語後半、年齢を重ねたエリザベートと向き合う場面では、若き皇帝とはまったく違った姿が求められます。

トップスター候補として華やかな役を演じてきた聖乃あすかにとって、フランツは“スターとして次の段階へ進む役”となるのかもしれません。

極美慎のルキーニ――花組で見せる新たな“狂気”

そして映像の中で強烈なアクセントとなるのが、極美慎のルイジ・ルキーニ。

ルキーニはエリザベートを暗殺した実在の人物でありながら、宝塚版では物語全体を観客へ案内する狂言回しでもあります。

歴史上の世界。

トートが存在する幻想の世界。

そして現代の観客。

そのすべてを自由に行き来する、非常に特殊な役です。

ルキーニに必要なのは、単なる華やかさではありません。

皮肉。

狂気。

ユーモア。

客席を巻き込む力。

そして、物語全体を一歩引いた場所から眺める冷静さ。

極美慎にとって、今回の『エリザベート』は花組スターとして大きな転機となる作品になる可能性があります。

星組時代には、抜群のスタイルと華やかなスター性を生かした役を数多く演じてきました。

しかしルキーニでは、その魅力とは異なる“影”の部分が求められます。

第2幕の「キッチュ」をはじめ、極美慎というスターの新たな表情を発見できることも、2026年花組版『エリザベート』の大きな楽しみです。

初日映像のルドルフは侑輝大弥――「闇が広がる」に注目

今回のロング舞台映像でもう一つ注目したいのが、皇太子ルドルフです。

2026年花組版では、ルドルフを侑輝大弥と希波らいとが役替わりで演じます。

宝塚大劇場初日は侑輝大弥が担当。

そのため、初日舞台映像で永久輝トートと対峙しているルドルフも侑輝大弥です。

特に注目したいのが「闇が広がる」。

宝塚版『エリザベート』を代表する、男役同士の名場面です。

トートが孤独なルドルフの心へ入り込み、徐々に破滅への道へと誘っていく。

永久輝せあと侑輝大弥。

二人の間にどのような緊張感が生まれているのかは、今回のロング映像でも大きな見どころとなっています。

そして、これからは希波らいとのルドルフも登場します。

同じ永久輝トートを相手にしていても、ルドルフを演じる男役が変われば「闇が広がる」の関係性も変化するはず。

侑輝大弥と希波らいと。

二つのルドルフを比較して楽しめることも、今回の花組公演ならではの醍醐味となりそうです✨

一之瀬航季――退団公演だからこそ見逃したくないマックス

主要キャストだけではありません。

今回の『エリザベート』には、花組ファンとして大切に見届けたいスターがいます。

エリザベートの父マックスを演じる一之瀬航季です。

一之瀬は、この『エリザベート』東京宝塚劇場千秋楽をもって宝塚歌劇団を退団します。

2014年に初舞台を踏み、花組一筋で歩んできた男役。

今回演じるマックスは、自由を愛する少女シシィにとって憧れの存在です。

宮廷の価値観とは正反対の生き方をし、シシィの自由な心の原点ともいえる父親。

そのマックスを、長年月組ではなく花組一筋で歩んできた一之瀬航季が、最後の公演で演じるという巡り合わせにも特別なものを感じます。

少女シシィが歌う「パパみたいになりたい」。

退団公演であることを知った今、その場面を見るファンの胸には、作品上の意味とはまた異なる思いも重なってくることでしょう。

一之瀬航季の花組生として最後の姿も、一場面一場面、大切に目に焼き付けたいですね。

30年前から受け継がれた『エリザベート』、そして2026年花組へ

宝塚歌劇版『エリザベート』が初演されたのは1996年。

そこから30年。

トート。

エリザベート。

フランツ。

ルキーニ。

ルドルフ。

同じ役を、時代ごとに異なるスターたちが演じ継いできました。

今回の公演に先立って開催された前夜祭には、2014年花組版でトップコンビを務めた明日海りお、蘭乃はなも登場。

歴代公演の映像とともに、30年間積み重ねられてきた『エリザベート』の歴史を振り返る時間となりました。

だからこそ、2026年版に求められるのは「歴代と同じ『エリザベート』」ではないのでしょう。

永久輝せあだから生まれるトート。

星空美咲だから生まれるエリザベート。

聖乃あすかだから生まれるフランツ。

極美慎だから生まれるルキーニ。

そして、侑輝大弥と希波らいとだからこそ生まれる二つのルドルフ。

そこへ現在の花組生一人ひとりの力が加わって、2026年にしか存在しない『エリザベート』が作られていきます。

今回公開された約10分31秒のロング舞台映像は、その世界のほんの一部を私たちに見せてくれたもの。

しかし、その“ほんの一部”だけでも、30周年という節目にこの作品を上演する意味と、現在の花組が持つ力を十分に感じることができます。

映像を見たことで、ますます劇場でこの世界を体感したくなった方も多いのではないでしょうか🌹✨

宝塚大劇場公演は2026年11月22日まで。

その後は2026年12月19日から2027年2月7日まで、東京宝塚劇場で上演されます。

30周年という記念すべき年に、新たな歴史を刻み始めた花組『エリザベート』。

これから公演を重ねる中で、永久輝トート、星空シシィをはじめとする花組生たちがさらに役を深め、どのような『エリザベート』を完成させていくのでしょうか。

宝塚歌劇のファンとして、一公演ごとに進化していく2026年花組版『エリザベート』の世界を、大切に見届けていきましょう🌹✨